コラム  ---筋肉痛の予防とアフターケア



暦の上ではすっかり秋となり、子どもの運動会や会社のスポーツ大会などに参加する機会もあることでしょう。
普段から身体を動かしている人ならまだしも、日頃は運動しないのにここぞとばかりに張り切って参加する、となると心配なのが筋肉痛。
今回は筋肉痛の仕組みと予防、対処法についてご紹介します。

筋肉痛の起こる仕組み

筋肉痛になる原因は、主として下の2つ

■筋疲労よるもの

激しい筋収縮により、筋肉への酸素供給が間に合わなくなる。するとエネルギー源となるブドウ糖が不完全燃焼を起こし、代謝産物(乳酸)が残ってしまう。この乳酸が筋肉中に蓄積することにより痛みを生じる。


■筋損傷によるもの

普段使わない筋肉を急に使うなどすると、筋繊維が損傷し、炎症を起こしてしまう。この炎症が痛みを生じる。
ちなみに、運動によって起こる筋肉痛は前者の場合がほとんど。また、大きな力を出すほど、長時間運動するほど筋肉痛になりやすく、「筋肉に力を入れた状態で、その筋肉が引き伸ばされる」運動が最も筋肉痛になりやすいと言われます。これは、筋肉は本来「縮んで力を出す」つくりになっているため、階段を下るときのように「力をだしながら筋肉をゆるめる」運動をすると筋肉が傷つきやすくなるから。階段を上るときより下るときのほうが筋肉痛になりやすいという実験結果も出ています。


2日後の筋肉痛は老化のシルシ?


歳をとると筋肉痛が遅れて出てくるといいますが、これは筋肉の衰えによるもの。筋肉痛は運動直後に起こるものと1〜2日後に起こるものがあり、それぞれ以下のような特徴があります。

■運動直後

筋原繊維(筋繊維のもと)の損傷による。早期解消し、痛みがあるうちも軽い運動は問題なし。


■1〜2日後

運動の際、極度の筋緊張が起こったため。ひどいものだと痛みと腫れを伴い、治りにくい。内出血していたりへこんでいる場合は肉離れを起こしていると考えられるため、動かさないように。そもそも痛みというのは体の防御反応で、生きるために必要な
感覚。筋肉痛も例外ではなく、遅れて起こる遅発性筋肉痛は、筋肉に何らかの異常が起こっている危険信号とも考えられます。
1週間以上も筋肉痛が取れないような場合は、動脈硬化が原因となっている疑いもあるので病院で循環器系の検査を受けることを勧めます。


筋肉痛のアフターケア

■基本は「温―冷―温」

痛み=冷やすと考えがちですが、筋肉痛の場合は温めるケアが適しています。「冷やす」のは主に炎症を抑え、痛みを(一時的に)軽くする等の効果があると考えられているので、痛みのひどいときは冷やし、あとは温めるのがいいでしょう。

1.運動後、痛みが出ない間は温めておく。
2.痛みが発生したら、痛みが峠を越すか横ばいになるまでは冷やす。
3.痛みが良くなりはじめたら(まだ痛みがあっても)温める。 「温める」のは筋肉組織の血液の循環を促進し、筋肉痛を直すリサイクル全般を早める働きをします。ただし、炎症の進行中は、
温めると炎症を促進してしまうので、一時的に痛みが激しくなることもあります。
お風呂やサウナ、マッサージ、軽い運動をする、などは血液の循環を促進するので主に「温」の効果があります。入浴する際は38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり入るのが効果的です。


■運動後にはクール・ダウン

激しい運動後は急に寝たり休んだりせず、軽いランニングでクール・ダウンし、血液の循環を急激に落とさないようにしましょう。
そのあと力を入れた腕や足などの筋肉を重点的にストレッチングし、この2段階を踏んでから休息します。この時先に紹介したよう
に入浴などで身体を温めて血液の循環を良くするとさらに効果的です。(※最初から痛みのある場合は除く)


筋肉痛の予防策


筋肉痛の予防には日ごろからジョギングなどで筋肉を鍛えておくのが理想的な方法、と言ってもなかなかできないもの。普段運動不足だったり筋力に自信のない人は、運動前にストレッチングすることで運動後の筋肉痛の軽減をめざしましょう。
ストレッチのやり方は運動前に日ごろ使っていない筋肉を十分に伸ばすこと。
筋肉を温め、血流を良くする効果があります。
呼吸しながら20秒ほどゆっくりと筋肉を伸ばすと良いでしょう。